ストレスチェックの義務化をチャンスと捉えメンタルヘルス不調の予防体質強化を

ストレスチェックの実施が義務化されるなど、従業員のメンタルヘルス不調の未然防止が多くの企業にとって課題となっている。日本能率協会(JMA)グループのJMAホールディングスメンタルヘルス研究所では、単に義務化対応としてストレスチェックを実施するだけではなく、これを機会として、組織の予防体質強化(いきいきと働ける組織づくり)に取り組むことを提案している。同研究所主任研究員の馬場裕子氏に、具体的な進め方やそのポイントを聞いた。

馬場裕子氏
メンタルヘルス研究所
主任研究員

●お問い合わせ先
株式会社JMA(日本能率協会)ホールディングス
メンタルヘルス研究所
〒105-0011
東京都港区芝公園3-1-22
TEL:03-6695-5388(直通)
FAX:03-6777-6226
E-mail: mental@jmahd.co.jp
URL:http://www.jmahd.co.jp/mental-health/

組織活性化で未然予防

JMAホールディングスメンタルヘルス研究所は、JMAグループの一員として、精神医学や心理学の専門家と連携し、組織活性化と人づくりの観点からメンタルヘルスサービスを企画・開発する専門機関だ。主任研究員の馬場氏は、長年にわたりES(従業員満足度)調査や組織診断に携わってきた。

「ES調査や組織診断を行うと、組織や人の問題が顕在化します。目的は『組織の活性化』や『社員の満足度向上』であり、施策としては職場の対話の機会の提供や残業時間削減などがあります。一方、職場のメンタルヘルス対策に置き換えても、同じような施策になります。つまり、入口の目的は異なっても、向かう方向は同じ『人や組織の活性化』であり、JMAグループで長年取り組んできた人づくりやマネジメント革新の経験はメンタルヘルスの領域でも生かすことができるのです」

心理カウンセラーによる相談窓口を提供して、社員一人ひとりに寄り添ったケアを重視するサービスとは異なり、同研究所は、メンタルヘルス不調者を出さないような“マネジメントの在り方”や“人づくり”をめざしている。

未然防止の具体的方法

メンタルヘルス対策として、多くの企業では、不調者が出た場合の対策や社員への知識教育(研修)は一通り整備している。しかし、手詰まり感があるため、早期発見よりも前から対策を行う「未然防止」への関心が高まっている。未然防止のためには、いったい何をすべきだろうか。

「メンタルヘルスの一次予防(未然防止および健康増進)で数多くの研究実績を持つ東京大学大学院医学系研究科の川上憲人教授(川上研究室)は、研究成果から次の3つのアプローチがあると述べています」

①個人向けストレス対策(セルフケア)

多くの企業では、新入社員研修の場や自学自習の教材などを通じて、社員がストレス対処法を学ぶ機会を提供しているが、画期的な予防法はなかなか見出せていなかった。川上研究室は、インターネットを利用し、認知行動療法を予防に適用する研究に取り組み、臨床試験の結果「うつ病の発症率を1/5に抑える効果がある」と発表した。そこでメンタルヘルス研究所では、川上研究室との共同開発を行い、うつ予防を目的としたセルフケア・プログラム「iCBTトレーニング」を法人向けに提供している。

「Web上での学習と臨床心理士からのアドバイスを組み合わせたプログラムです。自学自習だけでなく、自分の課題を提出すると、臨床心理士が個別にアドバイスをくれるため、本人の理解促進だけでなく、心のケアにも役に立つようになっています」

②管理職の教育・研修(ラインによるケア)

組織の予防体質強化のキーマンとなる管理職の理解や協力を得るため、メンタルヘルス不調の未然防止や職場でのマネジメントの重要性を理解してもらう啓発研修、部下とのコミュニケーションを円滑にする研修など、さまざまな内容がある。

③職場環境改善

予防体質強化のためには、個人へのアプローチだけでなく、職場メンバーを巻き込み、職場単位で取り組める内容を実施していくことが重要になる。具体的には、ストレスチェック(後述)の集団分析(職場ごとの分析)結果に基づき、職場の問題点の背景・課題から対策を検討し、実行するプログラムを行う。QCサークルや生産性向上の改善活動にも似ているが、“人がいきいきと働けているかどうか”という視点で対策を考える点が異なる。

「3つのアプローチを取り入れた、メンタルヘルス不調の未然防止を進めるために最も重要なポイントは、会社方針の決定と社員へのメッセージ発信です。『社員の健康(メンタルヘルスを含む)を大切にしていく会社である』ことや、『今後、当社は予防体質強化の取り組みを行っていく』ことを経営トップ自らが社員に発信することで、メンタルヘルスの問題を『個人の問題』と捉えてネガティブに受け止める傾向が払しょくされ、予防体質強化の活動が加速されるでしょう」

活用できるストレスチェック

労働安全衛生法の改正により、50人以上の事業場にストレスチェックが義務化された。今回の法律では、集団分析は努力義務となってはいるが、ストレスチェックの目的の1つは、ストレスの原因となる職場環境の改善につなげることにある。

「ストレスチェックは個人と組織の課題を見える化するツールに過ぎません。その結果をどう改善に生かしていくかがカギとなります」

メンタルヘルス研究所では、ストレスチェックのサービスも提供している(サービス名:SMARTSTRESSCHECK)。ストレスチェックは医療機関をはじめ多くの事業者が提供しているが、同研究所が力を入れているのは、未然防止と組織の活性化である。

「当研究所が提供するストレスチェックは、厚労省が定める職業性ストレス簡易調査57項目に、集団分析に有効なオリジナル30項目を加えて行います。これにより、スコアが悪かった場合に、職場でどのような改善を図ればよいのかを、具体的に分かりやすく示します」

ストレスチェックの結果を職場の改善に生かしていく過程では、JMAグループの持つ組織活性化のためのさまざまなノウハウが強みを発揮しそうだ。

「私たちの使命は、あくまでも組織を元気にするための支援です。ストレスチェックはそのための入り口であり、iCBTトレーニングもそのためのソリューションの1つとして、ぜひ活用していただきたいと考えています」

現在、同研究所では、心理的アプローチによる社員の活性化をめざした、よりポジティブなセルフケアプログラムの開発が進められており、今後の展開も注目される。

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