『「自己啓発支援制度」に関する実態調査報告書2015』人材育成の柱となる通信教育活用方法を公開

日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)は、『「自己啓発支援制度」に関する実態調査報告書2015』を発表した。 この調査は、自己啓発プログラムの実態を把握し、人材育成の柱としてより効果的に活用するための課題と対策を明らかにするというもの。今回、調査結果とそこから見えてきた課題と対策について、JMAM 通信教育事業本部の斎木輝之氏にお話を伺った。

斎木 輝之氏
通信教育事業本部
販売促進部長
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株式会社日本能率協会マネジメントセンター
通信教育事業本部
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自己啓発を人材育成の柱に

多くの企業が階層別教育、職能別教育、専門教育と並び、自己啓発プログラムを人材育成の柱と位置づけている。中でも通信教育は、多様な学習ニーズへの対応や運用のしやすさから、自己啓発プログラムの主要な教育手法として定着している。

35年にわたり通信教育プログラムを提供してきたJMAMは、「自己啓発をさらに効果的に活用し、人材育成の柱としてほしい」という考えから『「自己啓発支援制度」に関する実態調査』を実施した。

この調査は2015年1月~4月にわたって行われたもので、調査対象者は企業の人事部門の管理職、担当者。JMAMのセミナーに参加した350社に質問票を配布し、312社の回答を得た。この結果をもとに定性/定量の両面から自己啓発プログラムの実態を把握。それを役立ち度/受講率の高低/修了率の高低に、前回調査(2008年実施)との比較、受講者の意識の考察を加えて分析を進め、課題をまとめた。

調査結果の8つのポイント

今回の調査結果は、次の8つのポイントにまとめることができる。

Point①通信教育による自己啓発は、長期間実施するほど効果が上がっている~6年以上で効果を実感~

通信教育の役立ち度を利用年数別にまとめた結果、利用年数が長い企業ほど、通信教育が役立っていることがわかった(図1)。JMAM通信教育事業本部の斎木輝之氏は、「通信教育を“役立っている”と回答いただいた企業の7割以上が利用年数6年以上でした。まさに“継続は力なり”ということです。また、通信教育をうまく使っている企業は継続するだけでなく“改善を繰り返している”点がポイントです。募集の仕方、補助の仕組みなど、良い点と悪い点を毎年振り返りながら改善し続けている企業が、効果を実感できているようです」と述べる。

Point②募集方法の主流は「冊子+Webサイト」

募集の方法として最も多いのは、冊子(ガイドブック)とWebの併用。社内用Webサイトのみと合わせると、6割近い企業がWebを活用している(図2)。

「Webと冊子の両方の特徴をつかんで、うまく使い分けることが大切です。例えば冊子には、一覧性や網羅性に優れるという特徴があります。ですので、こちらで体系図や申し込み概要をきちんと見せていくことが重要です。一方、Webには検索性に優れるという特徴があります。ですので、一度に見せる情報を絞りながら、コースの選びやすさやテキスト見本などの詳細を伝えるといった使い分けが効果的です」(斎木氏、以下同様)

Point③通信教育の実施目的は「能力の全体の底上げ」と「風土の醸成」

通信教育を行っている目的については、前回の2008年の調査結果と変化が見られる。「能力の全体の底上げ」と「自己啓発風土の醸成」が目的だとする回答が多い点は変わらないが(図3)、前回調査で目立った「特定テーマの能力向上」や「コア人材の育成」といった回答は減り、代わりに「全社員の教育機会の均等」が大幅に増えた。

「2008年はリーマンショック直後で、企業はそれまで行っていた教育をやめたり、教育に速効性を求める流れが顕著になっていました。今は社員に教育機会を平等に提供し、目先の成果を追い求めるのではなく、人材育成の柱として自己啓発を活用したいという考えに変わってきていることがうかがえます」

Point④人気が高いカテゴリーは「ビジネススキル」「ヒューマンスキル」

社内ガイドブックのカテゴリーで受講者の多いものを問う設問では、最も多い回答は「ビジネススキル」(64.7%)、「ヒューマンスキル」(40.8%)で、共に前回調査より約10%伸びている。反対に、「資格」「IT・パソコン」は共に約10%減少している(図4)。

「グローバル人材育成の一環で語学(特に英語)に関するニーズも高まっています。しかし、ワークライフバランスや業務効率化が求められる昨今においては、実務力を高められるビジネススキルやヒューマンスキルに関するコースのほうが人気です。これは、2015年3月に行った『働き方に関するアンケート報告書(2015 JMAM)』の結果とも一致しています」

Point⑤期待受講率は前回より約5%アップの35%

自己啓発の受講率の平均値は20.1%。これに対して、人事部門の担当者が期待する受講率は平均35.0%。前回調査と比較すると、受講率には大きな差はないが、期待受講率が約5%アップしている(図5)。

「これは、それだけ一人ひとりの学習する習慣や能力アップに関して人事担当者の期待が高まっていることの表れだと思います。その期待値を、どのように実際の受講率アップにつなげるのかは、後ほど詳しく説明します」

Point⑥受講率向上策は「メリハリのある受講補助」「募集媒体・方法の工夫」「学習や実務適用のフォロー」

受講率が高い企業の施策の上位3つは「メリハリのある受講補助」「募集媒体・方法の工夫」「学習や実務適用のフォロー」だ(図6)。

「受講率の基準は“40%以上”を“高い”としています。そうした企業の施策を見ると、会社方針と連動したコースを「推奨化」し、そのコースは通常よりも補助率を高くするなどメリハリをつけています。また募集媒体にトップ・メッセージや受講者の声を盛り込むなどの工夫も効果を上げていくためには有効であることがわかりました」

Point⑦修了率向上の決め手は「体系化(階層別・職種別)」

修了率の向上に最も効果があったのは「体系化(階層別・職種別)」で、その他に効果が高いものとしては「経営方針・目標管理・昇進昇格などとの連動」「メリハリのある受講補助」となっている(図7)。

「ここでは受講者が何のために通信教育を受けるのかという“目的を理解していること”が重要になります。自分の課題は何か、克服したいテーマは何かを理解し、体系化した中から選べるようにすることで、学習を通じて自分自身の成長イメージを持たせることができます」

Point⑧受講料補助は半額が主流全額補助も増加~97.7%が半額以上の補助~

受講料の補助率50%は基準となっている。

「通常修了の場合、50%以上の補助をしている企業は97.7%、優秀修了の場合は99.3%、必須コースの場合は100%になっています(図8)。2008年と比べて補助率は増加しており、企業の“学習習慣を身につけてほしい”という強い思いが補助率の増加に表れています」

なお、受講料の負担状況と自己投資可能額については、約90%の受講者がなんらかの形で受講料補助を得ており、自己投資金額については1万円までという回答が41.1%、1万5000円までという回答が24.9%で、平均的な自己投資可能金額としては1万3370円という結果になった(図9)。

「ほとんどの企業が50%以上の補助をしていることを考えると、だいたい6500円~2万6000円の間が自己投資可能額になります」

浮かび上がった4つの課題

今回の調査から浮かび上がった課題は、次の4点だ。

・重点受講ターゲットは「若手・中堅クラス(特に、4~8年目)」:彼らが選びやすい、受けやすいなどの仕組みが必要。

・コース選定の軸は「実務に関わるテーマ」:学習ニーズにマッチしたコースの用意と、実務に役立つコースメニューの充実が不可欠。

・継続的な改善:通信教育を活用した教育効果を得るにはある程度時間がかかるため、継続的な改善が求められる。

・他社から学ぶ:他社の事例を参考に、良い施策は積極的に自社制度に取り入れていくことが重要。

こうした課題に対して、どのような取り組みをすればよいのか。ここからは、具体的な施策について検討していく。

より効果的な通信教育活用法

自己啓発支援プログラムがめざす、学習する組織の醸成。まずは自社がどの程度の成熟度にあるのか、客観的に知る必要がある。

「学習する組織の成熟度は、定量(実施期間、参加の状態、修了の状態)と、定性(制度や施策などの仕組み、継続的な改善、組織内での広がり)の両面から考える必要があります。JMAMでは、学びの風土の醸成度合いを測るチェックシートを用意しており、成熟度を数値化することができます」

この数値によって、45点~59点を導入レベル、60点~74点を定着レベル、75点以上は継続改善レベルと位置づけている。ちなみに75点以上は、「施策がほとんどの部署に展開され、目標の明確性と合目的性、仕組み間の整合性が取れている。効果や成果の検証による継続的な改善が行われている」状態。

JMAMでは、この段階にある企業の中から『JMAM通信教育優秀企業賞』を選出、表彰すると共に、その優れた取り組みを事例として紹介している。こうした事例を数多く蓄積しているのがJMAMの強みだ。例えば、目標設定の仕方、仕組みづくりのアプローチ方法、冊子づくりの工夫点、分析を踏まえたアナウンス効果の実例、効果的なバナーのつくり方、職場の巻き込み方などのノウハウを持っている。

「今後も、『JMAM通信教育優秀企業賞』の事例紹介や各種調査の公表など、情報提供を行っていきます。人材育成の柱としての通信教育活用法を、ぜひ一緒に検討していきましょう」

自己啓発支援制度を活性化させたい企業は、一度下記に連絡してみてはいかがだろうか。

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