技能伝承、安全教育をライブラリで強化
JFEケミカル事例

石炭化学の分野を中心に世界最高の技術で社会に貢献することをめざす JFE ケミカル。生産現場で急 速に世代交代が進む中、同社は技 能伝承教育、安全教育の知識面の強化・補完に日本能率協会マネジ メントセンターが提供する「e ラ ーニングライブラリ」(以下、ライ ブラリ)を活用している。今回、 同社・西日本製造所倉敷工場の工 場長・松木利幸氏と、3名の専任教育担当者・難波健次氏、斎藤政則氏、加藤正治氏に、ライブラリの活用法についてお話を伺った。

松木 利幸氏
西日本製造所 倉敷工場 工場長
難波 健次氏
西日本製造所 倉敷工場 化成品製造担当 専任教育担当者
斎藤 政則氏
西日本製造所 倉敷工場 酸化鉄製造担当 専任教育担当者
加藤 正治氏
西日本製造所 倉敷工場 コークス炉ガス精製担当 専任教育担当者

JFE ケミカル株式会社 西日本製造所 倉敷工場 
●住所 〒712-8074 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目 
●TEL 086-447-3805(代表) 
●ホームページ http://www.jfe-chem.com

●お問い合わせ先
株式会社日本能率協会マネジメントセンター
e-ラーニング事業本部
〒103-6009
東京都中央区日本橋2-7-1 東京日本橋タワー
TEL:03-6362-4345(直通)
※番号通知でおかけいただくようになっております
(平日9:00~17:00)
URL:http://www.jmam.co.jp/

基礎知識の補完に活用

2003年に川崎製鉄化学事業部とNKKの化学事業会社アドケムコが統合して発足したJFEケミカル。千葉、京浜、倉敷、笠岡の4工場を生産拠点に、世界トップクラスの生産能力、生産技術、商品開発力を有する石炭化学メーカーだが、同社も日本の多くのメーカーと同様に、ベテランの大量退職とそれに伴う技能伝承という課題を抱えている。

同社は、技能系社員の教育として新入社員から管理職までの昇進に合わせた階層別教育に加え、若年社員対象の操業技術習得を目的とした技能伝承教育を人材開発の柱として位置づけ、この問題に取り組んでいる。

同社・西日本製造所倉敷工場の工場長である松木利幸氏は、次のように述べる。

「当工場でも、ベテランの大量退職と定期・中途採用者の増加に伴い、世代交代が急速に進行しています。そうした中で、OJTでは十分対応できていない防災・環境関連の非定常作業の教育について、専任の教育担当者を置いて技能伝承教育を開始しました。これによって設備や機器の操作技術の向上をめざしたのですが、教育が進むにつれ、操作の根本理論や、設備や機器そのものの基礎知識が欠けているという問題が顕在化しました。また、受講者からもポンプやバルブの構造などの基礎を学びたいという要望が高まってきました。そこでまず、現場実践業務を習得するために必要な基礎知識を身につけてもらうための教材として、ライブラリを導入したのです」

日本能率協会マネジメントセンターが提供するライブラリは“全145コースが定額で1年間学び放題”が好評のサービス。マネジメント系ライブラリと技術・技能系ライブラリに大別され、さらにPCスキルや語学系のコースがある。

ものづくりにかかわるメーカーは、技術・技能系ライブラリを導入するケースが多いが、同社はマネジメント系を含む全コースを導入している点が特徴だ。そこには技術・技能の基礎知識はもちろん、電話応対や報告・連絡・相談などの仕事の基本、CSRやコンプライアンスなどの社会人としての基本も身につけてほしいという狙いがある。

必須/自学推奨コースを実施

同社では、ライブラリをどのように運用しているのだろうか。

「身につけてほしい科目を、必須コースと自学推奨コースに分けて実施しています。技能系社員に必要な知識は職場によって異なるので、各職場の専任教育担当者が、それぞれの職場に必要なコースを選定しています」(松木氏)

技能系社員に一律で受講させるのではなく、各職場の専任教育担当者が中心となって必須コースを選定し、それぞれの職場に必要な知識を提供しているのがポイントだ。専任教育担当者の難波健次氏、斎藤政則氏、加藤正治氏は、ライブラリの運用について次のように述べる。

「各教育担当者が全コースの内容を確認し、身につけてほしい必須コースを選び、教育計画を定めました。例えば、化成品製造では、必須コースとして『バルブ(上)』『ポンプの基礎Ⅱ』など11コースを、自学推奨コースとして『ポンプの基礎Ⅰ』『仕事の基本 ホウ・レン・ソウ編』など3コースを選択し、年間計画を立て、学習を進めています。各コースには想定学習時間が明記されているので、計画を立てる際には非常に役立ちました」(難波氏)

「自学推奨コース以外でも、学習したい人はどのコースでも学習してよいことにしています。2014年3月から始めた取り組みですが、多い人は同年12月の段階ですでに必須、推奨コース以外で20時間以上も学習しています」(斎藤氏)

「進捗管理は各教育担当者が行っています。受講が停滞している人には技能伝承教育時に面談し、フォローします。また、進捗管理表を各職場の操作室に張り出して、競争意欲の高まりを期待しています」(加藤氏)

進捗管理表を掲示し、受講者の意欲の向上を促進している点も、運用面でのポイントといえるだろう。

さらに、倉敷工場では工場長、専任教育担当者と、現場教育のキーパーソンである作業長やリーダーとの意見交換会を実施して、育成についての考えを共有。受講者に対しては面談の場を設け、会社の技能伝承教育への取り組み姿勢や、一人ひとりの進捗を管理者が“しっかり見ている”ことを伝えている。

良質の教材で教育機会を

ライブラリの学習環境については、次の通りだ。まず必須コースに関しては、会社の教育として必ず身につけてもらいたいという考えから、技能伝承教育を含めて月5時間を上限とした残業時間内に共用PCでの学習を認めている。自学推奨コースは自宅や待機時間での受講を推奨。これらは業務として運用しているので、自己負担金はない。

受講者からは「保全担当者と施工者の会話がわかるようになった」「バルブやポンプなどの種類や構造を知っているのと知らないのでは日常の設備パトロールやトラブル時の見方が変わる」といった感想が挙がっているという。

今後の課題について、松木氏は次のように述べる。

「さらに世代交代が進む中で、指導者と育成対象者のコミュニケーションや、その橋渡しを担う中堅社員育成も強化する必要があります。このような場面ではOJTも重要ですが、良質の教材を使った教育機会を提供することも重要で、ライブラリは引き続き重要な位置づけになると考えています」

JFEケミカルのさらなる躍進と、その人材育成施策に引き続き注目していきたい。

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