日本におけるIC の活動状況とIC 協会の役割
アメリカでは一般的な働き方の一つとなっているICだが、日本ではまだ十分に認知されているとは言い難い。一方で、「雇われない・雇わない」というIC独特のワークスタイルに対して関心を寄せる個人も増えており、これからの労働力として企業も注目をし始めている。特定非営利活動法人インディペンデント・コントラクター協会(IC協会)は、2003 年の設立以来、日本におけるICの浸透と地位向上のためにさまざまな活動を行っている。IC協会の設立メンバーであり、自らもICであるIC協会理事長の秋山進氏に、日本におけるICの実態と、IC協会の取り組みについて話を伺った。
IC の浸透と地位向上を図る
まず、IC協会を設立された経緯をお聞かせください。ご自身が組織人を辞められた後、どのようなことがきっかけとなってIC協会を設立されたのでしょうか。
秋山
そもそものきっかけは2つあります。一つは、組織人としてではなく、クライアント企業と業務委託契約を結んで仕事をするようになったとき、自分自身の“呼び名”を何にしようか探していたということ。そのとき、世間一般で言われている「フリーランス」という言葉では、自分の「働き方」や「あり方」を表せないと思いました。
もともと「フリー」という言葉は、「束縛するもの、制圧・抑圧しているものから解放された状態」を指します。私の場合は、組織人ではなくなったものの、独立した後も組織と深くかかわる仕事をしていたので、「組織から解き放たれた状態」にあるわけではなかった。いわゆる“一匹狼”として仕事をしているのではないので、「フリーランス」という言葉にはとても抵抗がありました。
では、「フリーランス」ではない“呼び名”はなんだろうかと。いろいろと調べて見つけたのが「IC」でした。
ご自分を「IC」と名乗るところから始まったわけですが、その頃、日本における「IC」という言葉の認知度はどのくらいあったのでしょうか。
秋山
当時(98年頃)はほとんど「IC」という言葉は知られておりませんでした。ですから、いくら「IC」と名乗ったところで、私の働き方は「会社勤めをしていない自由業」、もしくは「何をやっているのかわからない人」という認識をされていました。
そこで、次は「IC」の認知度や地位向上を図り、かつ、同じような働き方をしている人たちがネットワークをつくれるような「場」が必要だと考えました。1人で自分の専門領域の仕事だけに没頭していると、どうしても情報が偏ってしまうので。それがNPO インディペンデント・コントラクター協会(IC 協会)を立ち上げた理由の一つです。
もう一つは、「LTD(長期傷病時休業補償団体保険)*」に私自身が入りたかったというのもあります。これは個人ではなく、団体が加入する保険なので、そのとりまとめをする団体が必要で、それをIC 協会が行っています。
いま、IC 協会にはどのような人がどのくらい加入しているのでしょうか。
秋山
05 年11 月末時点で会員数は185名。約半数が40 代です(図表1)。また、会員のIC が行っている業務は多岐にわたっており、そのなかには複数の分野・領域の業務をプロフェッショナルとしてこなせる人たちがいます(図表2)。
コンプライアンス教育に注力
IC協会としては、現在、どのような活動を行っていらっしゃるのですか。
秋山
主な活動内容としては、
①会員同士の交流を通じての多様な人的ネットワークを形成