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2月17日更新

編集部より

2022年卒の採用活動本格開始が目前に迫っています。昨年は急遽オンライン対応に切り替えたという皆さんも、今年は計画的な導入を行っているのではないでしょうか。オンライン“新卒”採用には、どういった課題があるのか。パーソル総合研究所の研究員をはじめ、気になるオピニオンリーダーたちの意見をご紹介します。

議論白熱 第14回
オンライン“新卒”採用の課題

気になるテーマを気になるあの人はどう考える? オピニオンリーダーたちの意見をご紹介します!

オンライン“新卒”採用の課題

コロナ禍で浸透が進むオンライン面接。従来の対面とは異なり、移動や準備のための負担が軽減できるなど、企業・学生双方にメリットがある一方、オンラインとリアルとのギャップによるミスマッチや、今後、オンラインに依存したコミュニケーションが常態化することに対する不安の声も上がっています。

01 採用・育成・ライン間での"三つ巴の連携〟がカギ

コロナ禍によって新卒オンライン採用は一気に広がり、22年卒向け夏期インターンシップもオンライン化の流れが継続している。オンライン採用については採用側から「候補者の見極めができない」という課題がよく聞かれるが、この課題の本質は別のところにある。

面接時の評価と入社後の評価との相関を分析してみれば、多くの企業でほとんど関連しない。つまり、この採用側の課題感は、面接時に「見極めた」という実感が得られないというある種の「擬似問題」だ。それよりも人事管理としては、オンライン勤務下での「定着・活躍」の課題の方が重い。

そこでいつも問題になるのが、採用と定着の「縦割り」構造である。採用は採用するだけ、定着するかどうかは現場か教育担当任せというのが、人事分業化の弊害だ。真の意味での採用成功のためには、採用・育成・ラインの間で、このコロナ禍のオンボーディングという新たな課題への統一意識が図れるか、三つ巴の連携が鍵になってくる。

小林祐児氏
株式会社パーソル総合研究所
上席主任研究員

02 減った「企業理解」の場を補うしくみづくりを

今年の就職活動はコロナ禍によりオンライン化への対応が必要となった。問題点は学生、企業も準備が十分でないなかで実施されたことだ。学生はSNSには慣れているが、採用選考という公式な場面でのオンライン対応は初めてであり、不安を感じる者が大半であった。本学では学生に対して基本は対面と同様であること、そのうえで、ネットおよび面接の環境整備を行うことを伝えている。

オンラインのメリットは、時間、交通費等の軽減であり、学生のUI ターン就職も含め貢献している。

一方、失われた物も大きい。対面での面接選考に臨む際、廊下ですれ違う社員の表情、垣間見える職場の雰囲気もその会社を理解する一助だが、オンラインでは叶わない。また、学内や合同企業説明会等での学生間の情報交換の機会も、もてていない。Withコロナが続くのであれば、大学・企業ともそれを補うしくみを設けることが必要である。

詳細な分析は、「企業の採用活動におけるオンライン面接の可能性と課題についての調査報告書」(本学Webサイト掲載)をご参照いただきたい。

神山正之氏
立教大学 キャリアセンター
事務部長

03 知識・思考力は判断可能人物面の見極めにやや課題

当社の「安全を最優先する」という考えのもと、コロナ禍が続くなかで応募者の安全確保を優先した結果、“オンライン面接のみ”の採用を選択するに至った。

技術系の採用比率が高い当社では、これまでも応募者による研究内容のプレゼンテーションをとおして専門性の高さや論理的思考力を測ってきた。この点に関しては、おおむねオンライン上でも対面時と遜色なく判断できた。

一方で、課題もあった。たとえば、複数の企業へ応募する大学生に比べ、高専生の場合はオンライン面接が初めてという学生も珍しくない。学校推薦のため、原則として1社しか応募できないからだ。そこで、事前に通信環境テストを実施するなどのフォローを行い、安心して面接に臨める環境を提供した。

また、学生の熱意、全体像から感じ取れる態度・人柄など、実際に会わなければわからない部分はいまだに多い。コロナの状況を見極めながらではあるが、次年度の採用からは、オンラインと対面を組み合わせた“ハイブリッド化”を予定している。

大場章史氏
旭化成株式会社
人事部 人財採用室 室長

04 定量的な情報に基づいた採用でミスマッチは解消可能

ノンバーバル(非言語)コミュニケーションの難しさは、コロナ禍の影響により対面からオンライン採用に舵を切った多くの企業にとって、悩ましい課題の1つだろう。

当社の場合、コロナ禍以前から対面を主としながらオンラインも併用した新卒採用を実施していた。学生の雰囲気など、定性的な「所感」に頼らず、面接時の具体的な発言内容など、定量的な「ファクト」に基づいた判断を一貫して行っているため、当社・学生の双方ともに、入社後のミスマッチはほとんど生じておらず、むしろオンライン面接の方がより正確に判断できると考えている。学生に対して実際の就業環境を見せることができないなど、企業側からのアトラクト(魅力づけ)の難しさなどの課題はあるが、オンライン採用が進む現在の風潮は好意的にとらえている。

一方、企業はただオンライン採用に切り替えて終わるのではなく、コロナの影響により、「緊張」と「緩和」を繰り返すことが予想される今後の社会情勢に対応した、柔軟な人事オペレーションの構築など、有効な施策を講じ続けることが求められるだろう。

今西純菜氏
freee株式会社
人事採用本部 採用チーム
新卒採用担当

Learning Design 2020年11月刊