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6月19日更新

編集部より

梅雨入りして、すっきりしない天気の日が続きます。こんな季節、体調とともに気になるのがメンタル不調です。いまやメンタル不調は職場の大きな課題のひとつ。もしメンバーがこのような症状に陥ってしまったとき、管理者はどのように対応すればよいのでしょう。そこで今回は2014年12月号の『人材教育』の連載記事「社労士に聞く」に掲載された「メンタル不全社員の対応」をご紹介します。ぜひご覧ください。

社労士に聞く“職場あるある”
管理職のもやもや解決
第21回
「メンタル不全社員の対応」

円滑な職場運営は管理職の重要任務の1つ。けれども、さまざまな人が集う職場では日々問題が起こります。中には、手を出しにくいデリケートな問題も。
かといって、放っておくと大事に発展することもあります。
どうすべきか、もやもやと悩んでしまう管理職も多いことでしょう。
ここでは、社労士のところによく持ち込まれる管理職の悩みをピックアップ。
人事にも把握しておいてほしい、解決方法を紹介していきます。

[文] = 柳本友幸 [イラスト] = 秋葉あきこ

今月のお悩み メンタル不全社員の対応

職場内でメンタル不全の社員が、長期休職中である。軽度のうつ病で、仕事を控えるよう医師から診断を受けており、1カ月程度で戻ってこられるという話だったが、2カ月経過した今も復職日が未定のままだ。在籍のチームは少人数なので、1人抜けただけでも他のメンバーにかなりの負荷があり、残業も多い状態が続いている。休職者への対応と、社内のメンバーへのフォローは、今後どうするべきだろうか。

長期休職者の手当と制度

まず基礎情報ですが、うつ病などのメンタル不全で長期間仕事ができなくなった場合、医師による証明があり一定の条件を満たせば健康保険・各種共済組合の傷病手当金の対象となり、本人に月額標準報酬の3分の2が最大1年半にわたって支給されます※。健康保険組合によってはさらに上乗せして給付をしているところもあります。

復職までの流れと支援

順調に回復し、休職者が職場復帰を希望する際は、復職可能であることを証明する主治医の診断書を事業者に提出します。通常、診断書には本人の就業能力や就業上の配慮等が記載されています。

しかし復職できても、いきなり100%の稼働は難しいため、以前より軽い仕事を任せる、時短勤務や稼働日を減らすなど、仕事量や内容を調整した状態からスタートするのが一般的です。そうして様子を見ながら少しずつ仕事量や勤務時間を増やしていきますが、こうした復職支援のプランニングには、主治医または産業医からのアドバイスを受けることもできます。完全復職まで、3カ月~半年程度の期間をかける例が多いようです。

社労士としてこうした事例を見ていると、精神疾患で長期休職後、もとの職場に戻って同じように仕事ができるようになる例は、概ね全体の半分を切るように感じます。

なお、発症の原因として職場環境や業務内容が含まれている場合は、職場を変えない限り、復職してもまた再発する可能性があります。残業時間が多くないか、人間関係に問題がないか、過度なプレッシャーがかかっていないか等、職場のストレスレベルが高い状態ではないかを産業医と確認、検証し、対策を考える必要があります。人や業務内容との相性が悪い場合もあり、「業務の負荷を軽くすればいい」などと一概に言えないため、主治医や産業医との相談が必要なのです。

精神疾患による休職は、怪我などでの休職に比べて復帰時期がわかりにくく、再発することがあるという特徴があります。そのため、職場側の対応も難しく、当面の人員不足については、人を増やすか全体の仕事量を減らす方向で、現場と人事が検討・対処すべきです。休職者の復職も大事ですが、人手不足の状態が続くと残っている人たちも調子を崩しかねません。欠員が出たと考えて、対処を考えましょう。

事業者の責務

平成26 年6月25日、改正労働安全衛生法が公布され、従業員50人以上の事業場では医師、保健師等によるストレスチェックが義務化されました。普段から従業員のストレスレベルを確認することで、メンタル不全による発病や休職を未然に防止する施策です。

現状、日本企業では、復職支援も効率よく行われているとは言い難く、今後、事業者側に、より高いレベルでの未然防止策が求められるようになっていくでしょう。

先生からの一言

うつ病は、10 ~ 15人に1人の割合で一度はかかる病気で、「心の風邪」ともいわれます。しかしその発症に至るプロセスは複雑です。「職場にメンタル不全者が出た」というとその職場環境が悪いのかと考えがちですが、個人の家庭環境や経済状況が原因なことも多く、必ずしも職場や仕事だけが原因でうつになるわけではありません。

最近相談が多いのは「新型うつ」と呼ばれる例です。ある程度は元気で社会生活ができるものの、仕事となると元気がなくなるというケースです。しかし休職期間中、本人が私的な場所で遊ぶ写真をネット上にアップし、それを見た周りのメンバーが驚き働く意欲を低下させるなど、対処が難しい問題が出てきています。

さまざまな難しい問題を含むメンタルヘルスですが、どのようなケースでも従業者の健康状態の問題のため、プライバシーへの高い配慮が必要です。産業医など専門家からアドバイスをもらうことをお勧めします。
※参照 全国健康保険協会HP https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139

月刊 人材教育 2014年12月号